世界の街角から
(インド編)

インド旅行
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 昼食に食べた中華料理に、ほっと一息ついた。おなじみのメニューであった。お茶を飲んだらさっぱりした。インドではほとんどが西洋風の料理だったが、体がさっぱりするような飲み物がないので困る。コーヒー、紅茶では油が抜けない。やっぱりお茶がいい。ウーロン茶、ジャスミンティー、緑茶。などなど。
 午後も街に出かけてしまった。リクシャーはこりごりなので、歩いて、コンノートプレイス下のパリカバザールを目指した。時間の関係で、結局そこまでは行けず、その途中の賑やかな商店街で買物をした。
 Tシャツ、レディース、メンズ、アクセサリー、宗教のテープ、本、香、バッグ、チャッパル、いろいろな店があった。
 バッグを買う。120ルピーを100ルピーにまけてくれた。
 ジャイプールで買ったのと全く同じクッションカバーが一枚50ルピーで売っていた。ジャイプールではこの三倍払ったのだ。とても悔しい。
 この辺の店は大幅にはまけてくれない。観光客向けの店ではないからだ。庶民のバザールなのだ。値段はどこも、それなりに良心的である。もっと日程に余裕があれば、全ての買物をこういうところでできたのにと、ため息つく。
 100ルピーのバッグは重宝した。小さくて嵩張るいくつかの荷物が全部入ったので、空港で楽できた。それに、意外にも帰国後みんなに土産物を見せていると、このバッグは誰もがほしがった。思ってもみないものが人気を集めることもあるから、土産を買うのは難しい。
 ホテルから空港に向かう車が、新しい日本車で、いままでで一番乗り心地よかった。
 空港に着くや否や、東さん夫妻と懇意になった。いろいろ話をした。現地係員の比較。夫の東さんはインドが二度目であること。自由行動中の出来事。私たちがマッサージ師にかかったことを、夫の東さんが羨ましそうに聞いていた。久しぶりに日本人どおし日本語で会話したので、皆饒舌になっていた。

 第八日目 7月29日(木)
 成田に着いて、スカイライナーに乗ったときには、身体が強烈にうどんを欲していた。浅草まで行って蕎麦屋に入った。「きつねうどん」とか「おかめうどん」といったネーミングが、はげしく帰国者の心を揺さぶった。どんぶりが運ばれてきて、夢中で汁をすすった。醤油の味がうますぎる。世界でいちばんおいしい調味料ではなかろうか。
 それにしても日本の夏は格別に暑い。インドの夏より暑い。けっして誇張しているわけではない。余談だが、その後私はイギリスとアメリカに行った。どちらも真夏に行った。真夏のイギリスは涼しいを通り越して寒かった。慌てて現地でトレーナーを買った。そのぐらい寒かったのだ。アメリカは暑かったが、不快ではなかった。やはり湿度の高い日本の夏は、世界でいちばん過酷かもしれない。
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 世界の街角から(インド編)
◆ 執筆年 2013年1月24日
◆ 群馬県立太田高等学校『図書館だより』の「閑話 世界の街角」に 2011年4月から2013年1月まで連載した紀行文