世界の街角から
(イギリス編)

イギリス旅行
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アムステルダムの空港で

 第1日目 2005年8月8日(月)
 昔から憧れていたイギリスに行ってみたくなり、ルックJTBの「不思議の国 イギリス紀行 ――湖水地方とコッツウォルズ――」というツアーに申し込んだ。「KLMオランダ航空」という、小さい頃テレビで見た旅番組を思い出させるような名称に胸を躍らせて旅支度を始める。イギリスは夏でも涼しいという情報に基づいて衣服を整えるが、この時点で大きな誤算をしていた。初夏の高原にさわやかな風がシャツの袖を吹き抜けるというイメージを抱いてしまったのだ。ヨーロッパで記録的な猛暑が観測されたとかいうニュースも耳にしていたからなおさらだ。スーツケースの中はたくさんのTシャツとポロシャツ、そしてほんの少しの長袖シャツ。だがこれらはあまりありがたい品物ではなかった。
 早朝、成田空港北ウイングでツアー参加者、添乗員と合流する。添乗員さんはしばらく休んでいたので久々だというお母さんタイプの感じのよい方であった。普通の近所にいるようなタイプだったので、ほんとうに英語ぺらぺらなのかなと一瞬疑ってしまったが、人間というものは決して外見で判断してはいけないということを改めて学んだのであった。
 初めての海外旅行がインドで、外国の航空機としてはエア・インディアの、ある意味斬新なデザインに包まれたジェット機しか乗ったことがなかったので、ヨーロッパの航空機の、ボディーから、内装、客室乗務員の服装まで、センスよく、格好よく、非常に洗練されているということに、まずは感激してしまった。
 飲んだり食べたりビデオを見たり寝たりしているうちに、オランダのヒースロー空港に着陸したようだ。今が何時ごろなのか、感覚的に把握することがすでに困難になっていた。イギリスのマンチェスター空港にトランジットする航空機に乗り換えるまでここでしばらく待つのだと言う。ロビーに座っていたが、すぐに飽きてしまい、空港内を歩きまわった。売店で絵葉書や雑誌を見たり、トイレに入ったりしてみた。驚くほど朝顔の位置が高かった。子供用でちょうどよかった。本当に空港ですれ違うオランダ人男性はだれもがバスケットボール選手かジャイアント馬場かと思うほどに背が高いのである。女性もだいたい173㎝の私より背が高い人が多かったと思う。世界の平均身長というサイトを閲覧してみたら、オランダ女性の平均身長は170.5㎝であった。オランダ人は男女とも世界でいちばん身長が高いみたいだ。
 空港に寿司屋があったので食べてみた。うまくなかった。
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 世界の街角から(イギリス編)
◆ 執筆年 2014年4月26日
◆ 群馬県立太田高等学校『図書館だより』の「閑話 世界の街角」に 2012年2月から2014年3月まで連載した紀行文