すいす物語

25
二〇二四年一月
ミライに乗って、二年たった。
そのあいだに、世の中も、自分自身も、けっこう変わったような気がする。
コロナが五類になり、町やショッピングモールに出かけることも多くなった。
物価が上がり、自分で作って食べることも多くなった。
体を壊したこともあり、なるべく体にいいものを食べるようにはしている。
本やネットを見ながら作ると、自分でもなんとか食べられるものが作れるので、少しは楽しくもなってきた。
スーパーにいってみると、昔とはずいぶん変わってしまった気がする。
昔は、鮮魚コーナーの品ぞろえが非常に豊富だったと思う。
刺身や切り身などの種類も多かった。青柳など好きだった。切り身やまるごとの魚も、種類が多かった。川魚もあった。鯉の刺身があったし、水色の大きな容器には、どじょうが泳いでいた。
あさりやしじみも大量にあった。パックに入っているのではなく、浅く水を張った台に、大量に広げてあって、それをビニール袋に詰めてもらったような気がする。
いまは、生きて売られているあさりやしじみなど、ほんの申し訳程度にしか置かれていない。しかも、小さなパックになって、片隅に追いやられている。
刺身も切り身もまるごとの魚も、種類が限られているような気がする。
そして、幅を利かせているのは、冷凍ものだ。
しかし、やはり、生で売っている新鮮な魚がおいしいような気がする。
そういった活きのいい魚を見て、どれにしようかと迷っていると、芥川龍之介がブリ好きだったことを思い出し、ブリ大根用のブリを買うことにした。ブリ大根用のブリというのは、パックの中に、小さめに切ったブリがたくさん入っているものだ。
ブリ大根の作り方を、スマホで調べる。料理の作り方を教えてくれるアプリを入手したので、これをよく使っている。
大根を柔らかく煮るのは難しそうだが、どうやるのだろう?
アプリで見ると、五分大根をゆでるそうだ。二センチの輪切りにして、格子状に包丁で切れ込みを入れるらしい。そうしてみた。ブリも少しゆでるそうだ。そうした。
だしを二五〇㏄、しょうゆ大さじ三、みりん大さじ三、砂糖大さじ一・五、すりおろししょうが大さじ一。ブリが三切れ分は余裕であると思うので、レシピより多めにして、前述の数値にしてみた。大根も二センチ輪切り八個ぐらい入れる。中火で煮立ったら、下茹でしたブリと大根を入れて、アルミホイルを落し蓋代わりにかぶせて、一〇分煮た。
一〇分たったので、大根にフォークを刺すと、煮えていた。今度は、ホイルを取り去り、三分ぐらい中火で煮詰めた。器に盛って食べてみた。
大根はすっかり柔らかくなっていた。箸で軽く切り取れてしまう。味がよくしみていておいしい。ブリもとても柔らかい。プルプルでまろやかで、なんとも乙な味である。芥川は、ブリほどうまいものはないといっていたそうだが、なるほどそうである。(2023/11/05)
ミライに乗って、二年たった。
そのあいだに、世の中も、自分自身も、けっこう変わったような気がする。
コロナが五類になり、町やショッピングモールに出かけることも多くなった。
物価が上がり、自分で作って食べることも多くなった。
体を壊したこともあり、なるべく体にいいものを食べるようにはしている。
本やネットを見ながら作ると、自分でもなんとか食べられるものが作れるので、少しは楽しくもなってきた。
スーパーにいってみると、昔とはずいぶん変わってしまった気がする。
昔は、鮮魚コーナーの品ぞろえが非常に豊富だったと思う。
刺身や切り身などの種類も多かった。青柳など好きだった。切り身やまるごとの魚も、種類が多かった。川魚もあった。鯉の刺身があったし、水色の大きな容器には、どじょうが泳いでいた。
あさりやしじみも大量にあった。パックに入っているのではなく、浅く水を張った台に、大量に広げてあって、それをビニール袋に詰めてもらったような気がする。
いまは、生きて売られているあさりやしじみなど、ほんの申し訳程度にしか置かれていない。しかも、小さなパックになって、片隅に追いやられている。
刺身も切り身もまるごとの魚も、種類が限られているような気がする。
そして、幅を利かせているのは、冷凍ものだ。
しかし、やはり、生で売っている新鮮な魚がおいしいような気がする。
そういった活きのいい魚を見て、どれにしようかと迷っていると、芥川龍之介がブリ好きだったことを思い出し、ブリ大根用のブリを買うことにした。ブリ大根用のブリというのは、パックの中に、小さめに切ったブリがたくさん入っているものだ。
ブリ大根の作り方を、スマホで調べる。料理の作り方を教えてくれるアプリを入手したので、これをよく使っている。
大根を柔らかく煮るのは難しそうだが、どうやるのだろう?
アプリで見ると、五分大根をゆでるそうだ。二センチの輪切りにして、格子状に包丁で切れ込みを入れるらしい。そうしてみた。ブリも少しゆでるそうだ。そうした。
だしを二五〇㏄、しょうゆ大さじ三、みりん大さじ三、砂糖大さじ一・五、すりおろししょうが大さじ一。ブリが三切れ分は余裕であると思うので、レシピより多めにして、前述の数値にしてみた。大根も二センチ輪切り八個ぐらい入れる。中火で煮立ったら、下茹でしたブリと大根を入れて、アルミホイルを落し蓋代わりにかぶせて、一〇分煮た。
一〇分たったので、大根にフォークを刺すと、煮えていた。今度は、ホイルを取り去り、三分ぐらい中火で煮詰めた。器に盛って食べてみた。
大根はすっかり柔らかくなっていた。箸で軽く切り取れてしまう。味がよくしみていておいしい。ブリもとても柔らかい。プルプルでまろやかで、なんとも乙な味である。芥川は、ブリほどうまいものはないといっていたそうだが、なるほどそうである。(2023/11/05)