野鳥庵主人の平凡な日常

野鳥庵主人の平凡な日常
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  二〇二四年二月

 十時半に歩いて家をでた。
 車ででようと思ったが、歩くことにした。
 免許がないからである。
 免許はなくしてはないが、いまは持っていないので、手にするために家をでたのである。
 それは、昨日のことである。
 はがきをだしに、ポストまで車ででた。
 はがきをだす以外の用はないから、免許だけ持ってでた。
 ポストについたので、免許とはがきを持って、車から降りた。
 なにか考えごとをしながら、ポストにはがきを入れた。こういうときに、はがきの代わりに免許を入れちゃう人もいるかもしれないなと思って、手を見ると、はがきがあった。免許はどうしたろうと思った。変だなと思って、やっと了解した。自分がはがきの代わりに免許をポストに入れちゃう人だったのだ。
 とりあえず善後策を講じるほかない。といっても、郵便配達員がくるまで待つ以上の名案は思い浮かばなかった。ポストを見ると、午前十一時に配達員がくることになっていた。もうそれは過ぎてしまっている。早くとも明日でないと会うことはできない。明日の午前十一時にこよう。
 それで、今日十時半に歩いて家をでた。

 「二〇二四年一月」の回(前回)書いたことではあるが、『野鳥庵』には、現実と多少の接点はあるものの、現実には起こらなかったことを書いている。平凡な日常の中で、あれ、変だな? と思うことを書くかもしれないし、平凡な日常の中で、こういうことが起こるといいなと思うことを書くかもしれない。今回は、平凡な日常の中で、こんなことがあったら困るなと思うことを書いてみた。ちなみに、現実に起こったことは、「はがきをだしに、~手を見ると」までである。手を見ると、免許があってよかったと思ったのである。(2024/1/5)
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 野鳥庵主人の平凡な日常
◆ 執筆年 2024年1月2日~