レスキュー・ガール

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 リーダーは重々しく答え、歩きはじめた。ほかの5人は少し軽やかな足どりで歩いた。
 隊員のひとりが言ったとおりのところにそれはあった。5人の隊員は歓声をあげた。リーダーは無言でそこに近づいた。
 そこは小さな建物だった。外はひどいふぶきなのに、中ではひとりの若い女性がスーツを着て、カウンターに姿勢よく立っていた。
 彼が建物の前に近づくと、自動ドアが開いた。
 若い女性は彼に深々とおじぎをした。
 「いらっしゃいませ。」
 きれいな声だった。
 「仲間とはぐれてしまったんだが……。」
 リーダーは照れくさそうに言った。
 若い女性は、はぐれた3人の女性の住所、氏名を書きとめると、早速放送を流した。
 「……からお越しの……様、お連れ様がお待ちです。最寄りのレスキュー・カウンターにお入りください。」
 「ありがとう。」
 「どういたしまして。それではしばらくお待ちください。連絡が入り次第、声をお掛けします。」
 彼らは暖かい室内で待った。数分後、連絡があった。
 「ここからすぐ近くのカウンターから連絡がありました。みなさんお元気の様子です。」
 隊員たちは喜んだ。
 「これでまた行程を続けられますね。」
 リーダーはうなずいた。
 「よし、みんな出発するぞ。」
 彼らは外のふぶきの中に再び戻った。
 若いスーツの女性が深々とおじぎをして隊員たちがでていくのを見送った。
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Glass Card

【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 レスキュー・ガール
◆ 執筆年 2000年1月24日