レスキュー・ガール

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 何日かして、3人の女性がはぐれた。歩いているそばから足跡が消えてしまうほどの、ものすごいふぶきだった。
 3人はトイレにいったのだった。男性どうしであれば、目の届く範囲で済ませられるが、女性だとそうはいかない。3人はほんの数分のうちにまったく見えなくなってしまった。
 彼はリーダーとしての責任を感じて、声を限りに叫んで探し歩いた。もちろん、ほかのメンバーも必死に探した。半日、へとへとになるまで探して、結局見つからなかった。
 体のしんまで冷えきった状態で、彼らは相談をはじめた。彼らの声は猛烈なふぶきの音で何度もかき消された。
 隊員のひとりが言った。
 「リーダー、もうこれ以上探しても時間を無駄にするだけです。このままではボクたちは命を失ってしまいます。」
 また別の隊員が言った。
 「リーダーのプライドもあるでしょうが、あの手を使うしかありません。」
 彼の顔は苦痛に満ちていた。あの手を使うことだけはしたくないのだ。しかし、これが限界だ。残念だけど、そうしないわけにはいかない。
 「よし、わかった。あの手でいこう。」
 彼の決断で、隊に明るさが戻った。
 「どの辺かな?」とリーダーが言うと、はじめの隊員が答えた。
 「この山には、127か所あります。ここはCT地区のb─4区と推定されるので、北北東に240メートルほど歩くと見つかるはずです。」
 「いこう。」
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Glass Card

【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 レスキュー・ガール
◆ 執筆年 2000年1月24日