お勤め

prev

2

 目を閉じて、白く美しい裸体を横たえると、
 「十分に薄めなさい」
と作業員に、総督の号令がかかる。
 バスのように大きなロードローラーに乗った作業員は、ゆっくりローラーをかけていく。
 若い娘の体は、薄く引き延ばされていき、もうすっかり土になったのかと思われる。
 こういった事象は、誰が見ても可逆性はないと思われた。
 しかし、娘はとりあえずそうしなければならないからそうしただけであり、隣の若い男の技術によって、何事もなくなるようになるから、裸身を見せたことをどれほどのこととも考えてはいない。
 娘に耳打ちした若い男も、みんなが次の段階に進むためなので、彼女にちょっとひと肌脱いでもらったが、それは当番みたいなものだから仕方ないと思っている。ランチをおごってお詫びしようと、掃除のおばさん達が道を一斉に掃いて、すっかり元通りの地面になったのを見つめて、そう決心した。
next
美人

【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 お勤め
◆ 執筆年 2009年8月20日