シダ

17
彼女はものすごい熱を出し、寝込んでしまった。子どもだってこんな馬鹿げたことはしない。あきれた。
彼女は元気もなくしていた。
「コーク、ごめんね。もうパジャマでお客さんに会わないね」
彼女は自分にすっかり自信をなくしてしまっていた。また変なことをやって僕に怒られるに違いないと。だが、肝心の点、つまり、僕に夫のところに戻れと言われたことは頭に残っていなかったようだ。とにかく、僕に出ていけと言われたことだけが頭の中を支配してしまい、どこか行かなければと思ったけれど、どこにも行き場所がないから、僕の庭で座っていたのだと。そんな馬鹿な。家に帰れと言ったんだから帰ればいいのに。夫のところへ帰るのは嫌なのかもしれないけど、だからといってずぶぬれになって僕の家の庭に座っていることはないじゃないか。
彼女は、過敏になって、元気をなくし、体力もなくし、僕に対してもおどおどし、全くの病人になって寝付いてしまった。
僕は、彼女がこんなに弱いと思わなかった。何も気にしないで、どこでもたくましくやっていけると、勝手に思いこんでいた。しかし、実際の彼女は弱く、精神的な支えがないとやっていけないのだ。
僕は、彼女のこういう姿を見るとは思わなかったので、以前とのギャップに驚いてしまった。僕は、以前の快活な彼女の姿を懐かしく思い出すようになった。
彼女は確かに少しおかしなところがあるが、よく考えてみると、結構働き者だった。
僕はいろいろなシーンを思いだしていた。
食事を作っている彼女。
洗濯している彼女。
アイロンをかけている彼女。
掃除機をかけている彼女。
庭の手入れをしている彼女。
お嬢様育ちだから、もしかしたら結構大変な思いをしてやっていたのではないだろうか。もっとも、お嬢さんだって家事がとても得意な人はたくさんいると思うが。
それに対して、僕は、彼女にいろいろしてもらって、本を読んだり、小説を書いたり、自分の好きなことばかりしていた。
しばらくたったら、家の中は汚くなってきた。鉢植えの植物も元気がなくなってきた。シダも元気なかった。
僕はそういえば本当に何もしなかった。彼女が疲れてソファーに寝ていれば、だらしないと言って怒るだけだった。それに対して、彼女はシダだけでなく、僕にまで楽しそうに世話を焼いてくれたのだ。
彼女が僕にこんなに手を焼いてくれたのに、僕は説教して、挙げ句の果てに彼女が嫌がる夫のものへ帰らせようとしたのだ。
彼女は元気もなくしていた。
「コーク、ごめんね。もうパジャマでお客さんに会わないね」
彼女は自分にすっかり自信をなくしてしまっていた。また変なことをやって僕に怒られるに違いないと。だが、肝心の点、つまり、僕に夫のところに戻れと言われたことは頭に残っていなかったようだ。とにかく、僕に出ていけと言われたことだけが頭の中を支配してしまい、どこか行かなければと思ったけれど、どこにも行き場所がないから、僕の庭で座っていたのだと。そんな馬鹿な。家に帰れと言ったんだから帰ればいいのに。夫のところへ帰るのは嫌なのかもしれないけど、だからといってずぶぬれになって僕の家の庭に座っていることはないじゃないか。
彼女は、過敏になって、元気をなくし、体力もなくし、僕に対してもおどおどし、全くの病人になって寝付いてしまった。
僕は、彼女がこんなに弱いと思わなかった。何も気にしないで、どこでもたくましくやっていけると、勝手に思いこんでいた。しかし、実際の彼女は弱く、精神的な支えがないとやっていけないのだ。
僕は、彼女のこういう姿を見るとは思わなかったので、以前とのギャップに驚いてしまった。僕は、以前の快活な彼女の姿を懐かしく思い出すようになった。
彼女は確かに少しおかしなところがあるが、よく考えてみると、結構働き者だった。
僕はいろいろなシーンを思いだしていた。
食事を作っている彼女。
洗濯している彼女。
アイロンをかけている彼女。
掃除機をかけている彼女。
庭の手入れをしている彼女。
お嬢様育ちだから、もしかしたら結構大変な思いをしてやっていたのではないだろうか。もっとも、お嬢さんだって家事がとても得意な人はたくさんいると思うが。
それに対して、僕は、彼女にいろいろしてもらって、本を読んだり、小説を書いたり、自分の好きなことばかりしていた。
しばらくたったら、家の中は汚くなってきた。鉢植えの植物も元気がなくなってきた。シダも元気なかった。
僕はそういえば本当に何もしなかった。彼女が疲れてソファーに寝ていれば、だらしないと言って怒るだけだった。それに対して、彼女はシダだけでなく、僕にまで楽しそうに世話を焼いてくれたのだ。
彼女が僕にこんなに手を焼いてくれたのに、僕は説教して、挙げ句の果てに彼女が嫌がる夫のものへ帰らせようとしたのだ。