カサダ

10
結局、正太郎はむくむくと沸き起こってきた、自分の欲望に打ち勝てなかった。遊女を抱きながら、その体の具合が、磯良とはまったく違っていて、新鮮味を感じた。正太郎は、この一回で別れるのが、心から惜しく思われた。そして、自分の体の求めに逆らうことがどうしてもできなくなった時、またもや茶店に走ってしまった。それは、時とともに頻繁になっていった。
正太郎は、仕事に精をださなくなり、少なくない金を持ち出すようになった。外泊が多くなり、磯良に冷淡になっていった。しかし、磯良は正太郎にかいがいしく世話を焼いた。正太郎に憤慨する両親をなだめた。正太郎の留守に、両親にまめまめしく仕え、家内を和やかにしようと努めた。
そんな磯良がいよいよ気の毒になって、ある日、両親は正太郎を座敷牢に閉じ込めた。正太郎はその時やっと自分の罪深さを思い知った。
根が優しい正太郎は、磯良のことが心から気の毒になってくる。磯良は、正太郎のところへ来て、かいがいしく世話を焼く。そんな磯良のことがますますかわいく思えてくる。
何で、こんなにかわいい女をさしおいて、遊女に通い詰めてしまったんだろう。正太郎は、自分のしでかしたことが馬鹿らしく思えてくる。そして、すっかり改心したつもりになる。周りの者たちも、もう大丈夫だろうと、正太郎の謹慎を解いてやる。
それと同時に親たちは、例の遊女に金を渡して、こっそり国許に帰らせておいた。
正太郎は座敷牢から出てしばらくの間は、磯良と仲睦まじく暮らしている。しかし、性分というものはどうにもならないもの。例の遊女に会いたくなって、とうとう茶店に出かけてしまう。遊女がいないとわかると、無理矢理居場所を聞き出し、家から大金を持ち出して、出て行ってしまった。
正太郎は、仕事に精をださなくなり、少なくない金を持ち出すようになった。外泊が多くなり、磯良に冷淡になっていった。しかし、磯良は正太郎にかいがいしく世話を焼いた。正太郎に憤慨する両親をなだめた。正太郎の留守に、両親にまめまめしく仕え、家内を和やかにしようと努めた。
そんな磯良がいよいよ気の毒になって、ある日、両親は正太郎を座敷牢に閉じ込めた。正太郎はその時やっと自分の罪深さを思い知った。
根が優しい正太郎は、磯良のことが心から気の毒になってくる。磯良は、正太郎のところへ来て、かいがいしく世話を焼く。そんな磯良のことがますますかわいく思えてくる。
何で、こんなにかわいい女をさしおいて、遊女に通い詰めてしまったんだろう。正太郎は、自分のしでかしたことが馬鹿らしく思えてくる。そして、すっかり改心したつもりになる。周りの者たちも、もう大丈夫だろうと、正太郎の謹慎を解いてやる。
それと同時に親たちは、例の遊女に金を渡して、こっそり国許に帰らせておいた。
正太郎は座敷牢から出てしばらくの間は、磯良と仲睦まじく暮らしている。しかし、性分というものはどうにもならないもの。例の遊女に会いたくなって、とうとう茶店に出かけてしまう。遊女がいないとわかると、無理矢理居場所を聞き出し、家から大金を持ち出して、出て行ってしまった。