思われ-チェリー・ブラッサム・ピンク-

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璃鴎のお願い
門倉がやってきた翌日も休日だった。あまり眠れなかった私にとっては、明るい朝の空も魅力的なものには感じられなかった。その朝に、珍しく璃鴎がおねだりをした。彼は人間が出来ていて、自分から何かをほしがったり、私たちに言いつけられたことを嫌がったりしなかった。彼は、自分の本分を固く守って、自分のなすべきことを行い、日々努力すれば後は天が全てを解決してくれるとわきまえているように見えた。そんなことを彼に訊いてみたわけではないから、実際のところはもちろんわからないが、いい意味でも悪い意味でも、璃鴎という奴は老成しているのである。彼があまりにもできすぎるので、親である私の方が常日頃自分自身の至らなさを痛感させられるのである。こういう話をすると大抵は親馬鹿の自慢話だと受け取るみたいなのだが、そんなことはない。一種のわびしさを感じるほどである。だから、かえってこんなふうに子供らしく親におねだりする璃鴎を見ると、何だか妙にほっとする。やっぱりこの子も人の子だったんだなと安心するのだ。
璃鴎は、コーヒーを飲んで新聞に目を通している私のところへやってきた。
「お父さん、お願いがあるんだけど。」
「なんだい?」
私が先ほど説明した感慨を抱いていたのはこの瞬間までだった。この後の璃鴎の話を聞いたとたんに、私はこの感慨を即座に撤回した。
「来週の休日に、門倉の小父さんが女の子を見たと言った墓地に連れて行ってほしいんだ。」
私は、カチャカチャ音を立ててカップを皿に置いて、心の中で神様に怒りをぶつけた。一体どこの世界に、見ず知らずの他人の墓に連れて行ってほしいとねだる子供がいるというのだ!
「璃鴎! 君ねえ、子供らしく、ディズニーランドとか遊園地とかに行きたがってみたらどうなんだい? たまの休みに君と出掛けるのに、我が一族とは縁もゆかりもない人の墓に行くのは、お父さん、賛成できないよ。」
「でも、小父さんのことが気になるんだ。あの子のことを調べてみようよ。」
私はぞっとした。不気味なことにはかかわりたくないし、家族がおかしなことに巻き込まれるようなことはなおさらごめんだ。璃鴎の気が知れなかった。なぜ彼はこんな不気味なことに首を突っ込もうとするのだろうか。老成しているように見えても、やはりまだ、していいこととするべきでないこととの分別がつけられない子供なのだ。人の死というものを軽々しく考えるものではない。好奇心でやたらと他人の墓に出入りするなんてもってのほかだ。やはりここは親がはっきりと言って聞かせなければならない。
「やめてくれよ、璃鴎。そんなことに興味を持って、万が一のことでもあったらどうするんだ。それに、昨日の夜、お母さんが門倉の小父さんたちにどうすればいいか教えてあげたんだから、このことはもう何も心配はいらないんだよ。わかるか? 璃鴎?」
私が諭すと、璃鴎はおとなしく私の顔を見て、黙って聞いていた。もうこれで終わったなと思っていると、遼子が横から割り込んできた。