ノベル
17
……
野口昭弘 秋田県仙北郡……
北村洋一 茨城県西茨城郡……
里中正之 静岡県磐田市……
村井敬子 兵庫県洲本市……
佐藤隆弘 奈良県大和高田市……
内田清治 岐阜県益田郡……
森和浩 福岡県飯塚市……
原口博道 茨城県石岡市……
草野美子 宮城県気仙沼市……
高岡修平 新潟県長岡市……
桃子が真っ先に声を上げた。
「あった! 高岡修平。新潟の人なんだね。部屋の番号は、203。小雪、あってる?」
興奮して上気した桃子の顔は、懐中電灯に照らされて、一層赤く見えた。
小雪は周囲のしていることの意味がわからず、あっけに取られていたが、遼子が事情を説明すると、次第に飲み込めてきた。小雪には自分に語りかける文字が浮かんで消える、不思議を通り越して、戦慄を感じるほどのノートである。ところが、他人にはごくありふれた古いノートにしか見えない。つまり、小雪に怖ろしい文字が読めても、ありふれた日記や表紙と裏表紙に記されている名前が読めないのと同じように、他人には不思議でもなんでもないものだけ読めて、小雪が見ているという怪現象というものは一向に見えない。小雪はそういうことがわかり、遼子たちが今一体何を明らかにしようとしているかつかめてくると、微かな光が見えるような気がしてきた。もう一度質問する桃子に、首を大きく縦に振って答えた。
もう、事は解決した雰囲気になった。
ところが、ただ璃鴎だけが考え込んでいる。
璃鴎の能力の高さをよく知っている遼子と桃子と茉梨絵は、不安になった。しかし、すぐに気を取り直した。これだけ事実が一致しているのだから、いくらなんでも間違いはないだろう。確かに璃鴎は不可思議な現象を、直感で認識する力がある。しかし、さすがの彼も、今明らかになった事実を覆すに足る根拠を示すことはほとんど不可能に違いない。彼女たちは、彼の顔色からそう分析し、自分たちが取ろうとしている行動に自信を取り戻した。
野口昭弘 秋田県仙北郡……
北村洋一 茨城県西茨城郡……
里中正之 静岡県磐田市……
村井敬子 兵庫県洲本市……
佐藤隆弘 奈良県大和高田市……
内田清治 岐阜県益田郡……
森和浩 福岡県飯塚市……
原口博道 茨城県石岡市……
草野美子 宮城県気仙沼市……
高岡修平 新潟県長岡市……
桃子が真っ先に声を上げた。
「あった! 高岡修平。新潟の人なんだね。部屋の番号は、203。小雪、あってる?」
興奮して上気した桃子の顔は、懐中電灯に照らされて、一層赤く見えた。
小雪は周囲のしていることの意味がわからず、あっけに取られていたが、遼子が事情を説明すると、次第に飲み込めてきた。小雪には自分に語りかける文字が浮かんで消える、不思議を通り越して、戦慄を感じるほどのノートである。ところが、他人にはごくありふれた古いノートにしか見えない。つまり、小雪に怖ろしい文字が読めても、ありふれた日記や表紙と裏表紙に記されている名前が読めないのと同じように、他人には不思議でもなんでもないものだけ読めて、小雪が見ているという怪現象というものは一向に見えない。小雪はそういうことがわかり、遼子たちが今一体何を明らかにしようとしているかつかめてくると、微かな光が見えるような気がしてきた。もう一度質問する桃子に、首を大きく縦に振って答えた。
もう、事は解決した雰囲気になった。
ところが、ただ璃鴎だけが考え込んでいる。
璃鴎の能力の高さをよく知っている遼子と桃子と茉梨絵は、不安になった。しかし、すぐに気を取り直した。これだけ事実が一致しているのだから、いくらなんでも間違いはないだろう。確かに璃鴎は不可思議な現象を、直感で認識する力がある。しかし、さすがの彼も、今明らかになった事実を覆すに足る根拠を示すことはほとんど不可能に違いない。彼女たちは、彼の顔色からそう分析し、自分たちが取ろうとしている行動に自信を取り戻した。