ノベル

19
遼子は今度は修平本人に電話を掛けた。運のいいことに、これもすぐに通じた。しかも、高岡はとても気さくな人物で、この急な申し出に即座に応じてくれた。小雪のことを考えるとできるだけ早目がいいだろうと判断した遼子は、高岡が大丈夫だと言ってくれたので、早速、明日の昼に食事をしながら会うことに決めた。女性の准教授一人と三人の女子大生と急に会食ができることになって、喜んだのは高岡の方だった。行きつけの料亭にすぐ予約を入れ、返信してくれると言う。しかも、代金は全部高岡持ちだ。母校のために協力できるのですから、このぐらいお安いご用ですよと言ったが、内心は女性たちに依頼されたことが余程嬉しかったに違いない。
璃鴎は意外にもついて行かないと言った。ここまでくれば、解決したも同然だし、元々明日からの二日間は、奈良県で開催されるフォーラムで発表する父親に同伴する予定でいたから、そうしたいということだった。
「それに、聖徳太子のことを勉強したので、法隆寺観光もしたいんです。」
「三年生で日本史の勉強をするんだっけ?」
桃子が驚くと、茉梨絵が言った。
「確か六年生じゃなかったかしら?」
「この子が勉強しているのは、中学の内容なのよ。名門の中高一貫学校に進学するために、今から準備しておくんだって。」
遼子はあまり興味なさそうに言った。
「やっぱりすごいなあ。璃鴎君は。」
桃子は溜息をついた。
「私は少しも薦めていないんだけどね。」
皆の注目を浴びている璃鴎は、そんなこと意に介さず、またもや突拍子もないことを口に出した。
「お母さん、高岡さんの家はずっと住所が変わっていないか訊いてほしいのだけど。」
昼食の場所が確定したら、高岡から掛け直すことになっている。その時に訊いてくれないかと璃鴎は言っているのだ。
「それってどういう意味なのかしら?」
「修平さんが生まれてから、別の住所に移っていないかどうかっていう意味だよ。できれば、修平さんのご両親がどこの出身かも聞いてもらえないかな?」
「璃鴎君、何か日記に手掛かりでも書いてあったの?」
茉梨絵が静かな口調で聞いた。
璃鴎は意外にもついて行かないと言った。ここまでくれば、解決したも同然だし、元々明日からの二日間は、奈良県で開催されるフォーラムで発表する父親に同伴する予定でいたから、そうしたいということだった。
「それに、聖徳太子のことを勉強したので、法隆寺観光もしたいんです。」
「三年生で日本史の勉強をするんだっけ?」
桃子が驚くと、茉梨絵が言った。
「確か六年生じゃなかったかしら?」
「この子が勉強しているのは、中学の内容なのよ。名門の中高一貫学校に進学するために、今から準備しておくんだって。」
遼子はあまり興味なさそうに言った。
「やっぱりすごいなあ。璃鴎君は。」
桃子は溜息をついた。
「私は少しも薦めていないんだけどね。」
皆の注目を浴びている璃鴎は、そんなこと意に介さず、またもや突拍子もないことを口に出した。
「お母さん、高岡さんの家はずっと住所が変わっていないか訊いてほしいのだけど。」
昼食の場所が確定したら、高岡から掛け直すことになっている。その時に訊いてくれないかと璃鴎は言っているのだ。
「それってどういう意味なのかしら?」
「修平さんが生まれてから、別の住所に移っていないかどうかっていう意味だよ。できれば、修平さんのご両親がどこの出身かも聞いてもらえないかな?」
「璃鴎君、何か日記に手掛かりでも書いてあったの?」
茉梨絵が静かな口調で聞いた。