ノベル

27
璃鴎は、学校であった出来事を両親に報告するときと同じ調子で、小雪の身に降りかかった災難の原因を説明した。
「僕は高岡さんが生きていて、弁護士として働いていることが妙に引っ掛かっていました。最初にそのことを言ったのが本当の考えだったのですが、僕はノートの書き手はこの世にいないと確信していたんです。でも、ノートには確かに高岡修平と書いてあるし、裏にSTとイニシャルも記されていましたから、状況としてはあのノートが高岡さんのものだということは疑いなさそうでした。ところが、ノートをよく見ていると、初めの方が何枚か破かれていたのに気づき、僕は奇妙に思いました。もちろん、当初予定していたノートの使用方法を、途中から何らかの理由で変更するということもあるかもしれません。しかし、もしかしたら高岡さんの使いかけたノートを、別のある人が何らかの事情で手に入れて、使用された部分のみを破り捨てて、日記を書くために有効利用したということも考えられると思いました。だから、僕はあの日記は本当に高岡さんが書いたものなのだろうかと疑問を持ったのです。」
小雪はびっくりして言った。
「そうなのよ。高岡さんも、自分が書いたページを他の誰かが処分して、日記を書くのに利用したんだろうって、璃鴎君と同じことを言っていたわ。」
その時、遼子が入ってきて、部屋の中を見て唖然とした。桃子、茉梨絵も立て続けにやってきた。璃鴎は、三人に同じことを繰り返してから、その続きを話し出した。
「それに、日記の中に書かれている言葉にとても特徴的なことがあったんです。」
「特徴的なことなんてあったかしら? ごくありきたりなものだったと思うけど。」
首をかしげる桃子に、璃鴎は涼しげな目を向けた。
「日記の書き手が実家から送ってもらった食料のことを書いていた部分を読みましたか?」
「うん。」
「そこに、好物のゼリーをたくさん送ってもらったから、ホーセキにしようって書いてあったんですよ。」
「それがそんなに特徴的なの?」
「テレビかラジオで聞いたことがあるんですけど、ホーセキって奈良の方言でおやつっていう意味なんですよ。高岡さんは新潟の人だから変だなって思ったんです。」
「僕は高岡さんが生きていて、弁護士として働いていることが妙に引っ掛かっていました。最初にそのことを言ったのが本当の考えだったのですが、僕はノートの書き手はこの世にいないと確信していたんです。でも、ノートには確かに高岡修平と書いてあるし、裏にSTとイニシャルも記されていましたから、状況としてはあのノートが高岡さんのものだということは疑いなさそうでした。ところが、ノートをよく見ていると、初めの方が何枚か破かれていたのに気づき、僕は奇妙に思いました。もちろん、当初予定していたノートの使用方法を、途中から何らかの理由で変更するということもあるかもしれません。しかし、もしかしたら高岡さんの使いかけたノートを、別のある人が何らかの事情で手に入れて、使用された部分のみを破り捨てて、日記を書くために有効利用したということも考えられると思いました。だから、僕はあの日記は本当に高岡さんが書いたものなのだろうかと疑問を持ったのです。」
小雪はびっくりして言った。
「そうなのよ。高岡さんも、自分が書いたページを他の誰かが処分して、日記を書くのに利用したんだろうって、璃鴎君と同じことを言っていたわ。」
その時、遼子が入ってきて、部屋の中を見て唖然とした。桃子、茉梨絵も立て続けにやってきた。璃鴎は、三人に同じことを繰り返してから、その続きを話し出した。
「それに、日記の中に書かれている言葉にとても特徴的なことがあったんです。」
「特徴的なことなんてあったかしら? ごくありきたりなものだったと思うけど。」
首をかしげる桃子に、璃鴎は涼しげな目を向けた。
「日記の書き手が実家から送ってもらった食料のことを書いていた部分を読みましたか?」
「うん。」
「そこに、好物のゼリーをたくさん送ってもらったから、ホーセキにしようって書いてあったんですよ。」
「それがそんなに特徴的なの?」
「テレビかラジオで聞いたことがあるんですけど、ホーセキって奈良の方言でおやつっていう意味なんですよ。高岡さんは新潟の人だから変だなって思ったんです。」