あなたに夢中

24
龍一はまぶしそうな目で温子を見た。
「ごめん、ほとんどうそなんだ」
「もう、いつもそうなんだから。ほとんどって、ほんとうのことも入ってるの?」
龍一は首筋をかいた。
「どうかな。やっぱり、ないかな」
「やあねえ」
「…………」
龍一が口をパクパクさせた。
「なに?」
「声が届かなかった」
「バカ。やめてよ」
「…………」
また、龍一が口をパクパクさせた。
「もう、いいよ」
「ご飯食べよう。…………ああ、よかった。思いが伝えられた」
「ほんとうにそれが伝えたかったの?」
「だって、おなかぺこぺこなんだよ」
「わたしもすいてるみたい」
「そう思ってたよ」
「おなかすいてることに気づかせようと思って、おかしな話をしたの?」
「ちょっと、やりすぎだったね」
温子に笑顔がもどった。
「龍一君のそんなとこ、ちょっと好き」
「ちょっと?」
「うん。ちょっと」
ふたりは道の駅のレストランに入った。温子は、コーヒーとスパゲティ・ミートソースを注文した。龍一は、コーヒーとシーフード・カレーにした。
「なんで言わないの?」
水を飲んで待ちながら、温子は意を決したように切りだした。
「予定とか、言っておいてもらわないと困るわ。わたし、あまりきたくなかった。用事があったのよ。大事な用よ。どうしてわたしの都合とか気持ちとか考えてくれないの?」
「ビンケースの中に入っていたから」
「だめよ。冗談でごまかされないから。はっきりしてくれなくちゃいや。言葉って大事よ。これからは先に言ってくれる。あなたの心を読み取って計画を立てるなんて不可能だから」
「ごめん、ほとんどうそなんだ」
「もう、いつもそうなんだから。ほとんどって、ほんとうのことも入ってるの?」
龍一は首筋をかいた。
「どうかな。やっぱり、ないかな」
「やあねえ」
「…………」
龍一が口をパクパクさせた。
「なに?」
「声が届かなかった」
「バカ。やめてよ」
「…………」
また、龍一が口をパクパクさせた。
「もう、いいよ」
「ご飯食べよう。…………ああ、よかった。思いが伝えられた」
「ほんとうにそれが伝えたかったの?」
「だって、おなかぺこぺこなんだよ」
「わたしもすいてるみたい」
「そう思ってたよ」
「おなかすいてることに気づかせようと思って、おかしな話をしたの?」
「ちょっと、やりすぎだったね」
温子に笑顔がもどった。
「龍一君のそんなとこ、ちょっと好き」
「ちょっと?」
「うん。ちょっと」
ふたりは道の駅のレストランに入った。温子は、コーヒーとスパゲティ・ミートソースを注文した。龍一は、コーヒーとシーフード・カレーにした。
「なんで言わないの?」
水を飲んで待ちながら、温子は意を決したように切りだした。
「予定とか、言っておいてもらわないと困るわ。わたし、あまりきたくなかった。用事があったのよ。大事な用よ。どうしてわたしの都合とか気持ちとか考えてくれないの?」
「ビンケースの中に入っていたから」
「だめよ。冗談でごまかされないから。はっきりしてくれなくちゃいや。言葉って大事よ。これからは先に言ってくれる。あなたの心を読み取って計画を立てるなんて不可能だから」