烏賊がな
-中里探偵事務所-

探偵
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「じゃあ、次は、この機能を利用して、閲覧したサイトのURLを、コピーする方法についてご説明します」
 優果は、山脇の指示に従って、インターネット・エクスプローラーを表示した。ヤフーのトップページがでてきた。彼女は、右上の星印をクリックした。次に、〈お気に入り〉〈フィード〉〈履歴〉と、三つのタブがあるうち、〈履歴〉をクリックした。すると、〈3週間前〉〈2週間前〉〈先週〉〈月曜日〉〈火曜日〉〈水曜日〉〈木曜日〉〈金曜日〉〈今日〉と表示された。
 その中から〈今日〉をクリックすると、さまざまなページが表示された。山脇は、それらのページの中から、〈ja.wikipedia〉をクリックするようにいった。すると、〈スクリーンショット-Wikipedia〉〈プリントスクリーン-Wikipedia〉という二つが表示された。プリントスクリーンについての説明をするのに、山脇がひらいて見せたウィキペディアのページだった。ちなみに、スクリーンショットというのは、プリントスクリーンの別名である。
「これが実際のページです」と、そのスクリーンショットを説明したウィキペディアのページのURLを、山脇は指でさした。
「結構奥の方にあるんですね。これをクリックするんですか」
「いいえ、これは絶対にクリックしないでください。これをクリックすると、ページがひらきます。それ自体は特に問題ないのですが、問題は、ページをひらいてしまうと、この閲覧履歴に記録されてしまうということです」
「〈今日〉の履歴にあるページをひらく分には問題ないけど、〈金曜日〉とか〈3週間前〉のなかにあるページをひらくと、ばれちゃうってことですか」
「そうです。仮に〈金曜日〉のなかにあるページをひらいてしまうと、その履歴が〈今日〉のところにできてしまいます」
 山脇は、〈金曜日〉をクリックするようにいった。そこにある〈weather.yahoo〉をクリックすると、〈Yahoo!天気・災害〉がでてきた。それをクリックすると、ヤフーの天気予報のページがでてきた。
「これで、ページがひらきましたね。では、〈今日〉の履歴を確認してみましょう」
 さっきは、〈今日〉の履歴には、〈ja.wikipedia〉しかなかったが、いまみると、〈weather.yahoo〉も追加されていた。
「ホントだ。もし、鴻上教授が、毎日履歴をチェックする人だったら、一発でばれますね」
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 烏賊がな-中里探偵事務所-
◆ 執筆年 2017年9月