烏賊がな
-中里探偵事務所-
40
上野駅で、メイテイと経済学部とは別れた。彼らは群馬からきたのだった。
東大の入学試験にいくと、また彼らとあった。試験会場の位置を確認するために立て看板を眺めていると、経済学部に話しかけられた。彼は、秋山雅俊といった。
秋山と昼食をとろうとおもって、学食にはいり、トレーを抱えて席を探していると、カツ丼をサラサラ口に流しこみ、チャーシュー麺をズルズルすすっている男が、六人掛けのテーブルに一人で座っていた。その向かいの席に二人で並んで、食べていると、秋山が、メイテイか、ときいた。
明貞はカツ丼を流しこむのをやめて、秋山をみた。三人は再会を喜んだ。
試験が終了すると、三人は居酒屋に直行した。新宿駅をでて、夕暮れの雑踏を歩くと、薬屋の横に安そうな店があった。ここなんか、いいんじゃないかと明貞がいい、異論のない二人は、ああ、そうだな、といった。
安っぽいテーブル席につくと、アルバイトの若い男が、ご注文はおきまりですか、ときいた。
譲は酒を飲んだことがなかったので、ウーロン茶を注文しようとしたが、明貞が、まずは生三つ、といったので、黙っていた。
譲は、初めてのビールに閉口した。苦いだけで、まったく飲めたものではなかった。しかし、飲まないのもしゃくに障るので、無理矢理胃に流しこんだ。しかし、飲んでみると意外にも、アルコールなんて、たいしたものじゃないという気がして、気が大きくなってきた。
「ユズもなかなかやるじゃないか。生、おかわり三つ」
明貞は、通りかかった若い男の店員にすかさず声をかけた。彼らはいつの間にか、譲のことを、ユズ、と呼んでいた。
明貞と秋山の話をきいているうちに、アルコールが回ってきたらしい。妙にふわふわする。
明貞は、チューハイを飲もうといいだした。しかし、その言葉は、譲の頭にははいってこなかった。チューハイがテーブルに置かれ、起こされた。譲は、明貞と秋山にいわれるまま、チューハイを一口飲んだ。また、起こされた。また、明貞と秋山にいわれてチューハイを一口飲んだ。
そして、気がつくと、ホテルの部屋で寝ていた。時計を見たら、五時二一分だった。部屋の中が薄明るくなっていた。明貞と秋山が床に転がっていた。起きあがろうとしたが、ここのところ睡眠時間が少なかったのと、出発にはまだかなり時間があることをおもい、目をつぶったら、再び深い眠りについた。
東大の入学試験にいくと、また彼らとあった。試験会場の位置を確認するために立て看板を眺めていると、経済学部に話しかけられた。彼は、秋山雅俊といった。
秋山と昼食をとろうとおもって、学食にはいり、トレーを抱えて席を探していると、カツ丼をサラサラ口に流しこみ、チャーシュー麺をズルズルすすっている男が、六人掛けのテーブルに一人で座っていた。その向かいの席に二人で並んで、食べていると、秋山が、メイテイか、ときいた。
明貞はカツ丼を流しこむのをやめて、秋山をみた。三人は再会を喜んだ。
試験が終了すると、三人は居酒屋に直行した。新宿駅をでて、夕暮れの雑踏を歩くと、薬屋の横に安そうな店があった。ここなんか、いいんじゃないかと明貞がいい、異論のない二人は、ああ、そうだな、といった。
安っぽいテーブル席につくと、アルバイトの若い男が、ご注文はおきまりですか、ときいた。
譲は酒を飲んだことがなかったので、ウーロン茶を注文しようとしたが、明貞が、まずは生三つ、といったので、黙っていた。
譲は、初めてのビールに閉口した。苦いだけで、まったく飲めたものではなかった。しかし、飲まないのもしゃくに障るので、無理矢理胃に流しこんだ。しかし、飲んでみると意外にも、アルコールなんて、たいしたものじゃないという気がして、気が大きくなってきた。
「ユズもなかなかやるじゃないか。生、おかわり三つ」
明貞は、通りかかった若い男の店員にすかさず声をかけた。彼らはいつの間にか、譲のことを、ユズ、と呼んでいた。
明貞と秋山の話をきいているうちに、アルコールが回ってきたらしい。妙にふわふわする。
明貞は、チューハイを飲もうといいだした。しかし、その言葉は、譲の頭にははいってこなかった。チューハイがテーブルに置かれ、起こされた。譲は、明貞と秋山にいわれるまま、チューハイを一口飲んだ。また、起こされた。また、明貞と秋山にいわれてチューハイを一口飲んだ。
そして、気がつくと、ホテルの部屋で寝ていた。時計を見たら、五時二一分だった。部屋の中が薄明るくなっていた。明貞と秋山が床に転がっていた。起きあがろうとしたが、ここのところ睡眠時間が少なかったのと、出発にはまだかなり時間があることをおもい、目をつぶったら、再び深い眠りについた。