世界の街角から
(イギリス編)
7
ストラットフォードアポンエイボン
コッツウォルズの「バートン・オン・ザ・ウォーター」という村の、〝ブロードウェイ〟を散策する。ここはおしゃれな店が並ぶ広い通りだ。日本車がたくさん走っていた。キャンディー屋さんをのぞいた。たくさんの色とりどりのビンが並べられている木の棚に圧倒された。思わず写真に撮りたくなるような光景だった。八百屋さんの店先では、野菜や果物がぴかぴかに磨かれていた。梶井基次郎の『檸檬』の八百屋を思い浮かべてしまった。そして、レストランで名物「ます料理」を食べた我々は、またバスに乗り、ストラトフォードアポンエイボンに向かった。言わずと知れたシェークスピアの生まれ故郷だ。シェークスピアの生家を見学する。死後500年経っているが、非常によく保存されている。羊毛商人の父は町長を務めたこともある、かなりの富豪だった。庭にはシェークスピアの作品に出て来る全ての花が植えられていた。シェークスピアは18歳でアン・ハサウェイと結婚した。ちなみに、映画女優のアン・ハサウェイは、シェークスピアの妻にあやかって、この名を両親に付けられた。
シェークスピアは10年後にロンドンに行き、なぜか俳優になる。そして脚本を書きはじめた。それが大変な評判になり、以後たくさんの脚本を手がけたが、約20年後にストラットフォードアポンエイボンへ戻り、そこで52歳の生涯を閉じる。
アン・ハサウェイの生家は農家だった。茅葺き屋根のように見える、トウモロコシの茎でふいた屋根の曲線が、ゆったりとした雰囲気を出していて、なかなか絵になる情景だった。
シェークスピアが眠るホーリー・トリニティー教会に行った。同じ名前の教会が、ジブラルタルという名の、スペインにあるイギリス領土にあるが、これとは特に関係はない。
ロイヤル・シェークスピア劇場にも行った。この劇場出身の有名人は多い。ローレンス・オリヴィエや、『風と共に去りぬ』でスカーレット・オハラを演じたヴィヴィアン・リー、『X―メン』でプロフェッサーXを務めたパトリック・スチュワートなどなど。『ハリー・ポッター』シリーズにも、セブルス・スネイプ役のアラン・リックマンを始めとして、多くの出身者が登場している。
二日連続のチャールコート・フェザント・ホテルにて、ストラットフォードアポンエイボンでの滞在を満喫する。イギリスに言ったらパブに行かなければならないと思っていたので、ロンドンではないが、このホテルのパブで上質な時間を過ごした。明日訪れる場所は、『ハリー・ポッター』シリーズの撮影でも使われたことのある、グロスター大聖堂とオックスフォード大学である。