世界の街角から
(フランス編)

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パリ②
シャンゼリゼのレストランを去り、バスは思いのほか走った。パリの中心地から少し外れたデファンスというビジネス街に着いた。パリ市内は優雅な装飾に彩られた伝統的な建築物で埋め尽くされ、近代的な高層ビルなどは見当たらないが、デファンスはその正反対である。近代的な高層ビル群が建ち並び、大企業のオフィスや大型商業施設が集中している。なかでも目を引くのがグランダルシュである。新凱旋門とも呼ばれるとおり、シャンゼリゼにある凱旋門を最新の技術と材質で造り直したかのようだ。側面と内面がガラス張りの巨大な門。我々日本人には、意外と大阪の梅田スカイビルが、イメージをつかむのにもっとも適しているかもしれない。構造が似ているのである。巨大なモニュメントなのかと思ったが、オフィスビルだそうだ。中には入らなかったが、35階が展望台になっているというので、そこからパリの夜景を眺めてみたいと思った。
デファンス地区は、鉄道や道路が地下にあり、その上に広大な人口広場が広がっている。その広場から、駅や商業施設、オフィスビルへと、人々は自由に歩いて行くことができる。パリとは思えないような高層ビル群が、人口広場の周りを囲んでいる。ニューヨークかロンドンの一角にあるようなしゃれたデザインの摩天楼を見上げると、そこに今夜泊まることになっていた「プルマン パリ ラ デファンス」があった。広場から眺めると、二十階ほどの高さのプルマンは、シャープなデザインの超高層ビルに囲まれ、かわいらしかった。
プルマンは都会的でとてもきれいなホテルだった。部屋は広く、備品も充実していた。浴槽が大きかった。泡風呂の材料があったので、さっそく泡風呂を作って疲れを取った。
第5日目 2014年8月15日(金)
日程表を見ると、午前のパリ市内観光は、ルーブル美術館、エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ、コンコルドとなっていて、午後はベルサイユ宮殿と庭園観光となっている。
パリに行ったことがない方は、この日程に無理を感じないであろう。私も感じなかった。しかし、実際に訪れてみるとわかるが、この日程、特に午前中は無茶である。こんなに回れるわけない。ルーブルもエッフェル塔も凱旋門も、一つ一つが非常に人気スポットで、混雑のなかを見学するのには、それ相応の時間を所要する。どうするのかと思っていると、実は見学したのはルーブルだけで、その他はすべてバスで回って、車内から眺めたり、短時間停車して外で眺めたりしただけであった。
では、午後はベルサイユ宮殿観光だけだから余裕があるかというと、その逆で、時間は全然足りなかった。ベルサイユはパリにあるのではなく、実はパリから20キロほど離れたところにある。バスだと片道小一時間はかかる。その往復時間が日程を圧迫するのである。