すいす物語

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  二〇二二年一〇月

 ミライの運転にも慣れてきた。
 プリウスとそれほど違いを感じることはない。
 プリウスに付いていたオートクルーズが、ミライではレーダークルーズになっていたのが、一番大きな違いであるような気がする。
 オートクルーズとレーダークルーズは、どう違うか。
 たとえばオートクルーズで五十キロに設定したとする。前方に遅い車がなく、一時停止や赤信号もなく、車道が続く限り、永久に五十キロの速度で走り続ける。しかし、前方の遅い車に追い付いたら、ブレーキを踏まないとならない。
 その点、レーダークルーズは違う。前方の遅い車に追い付いたら、その車の速度に合わせてくれる。その車が停まれば、こちらも自動的に停まる。その車が発進したら、こちらも自動的に発進する。よい条件が重なれば、いつまでも自動的に走り続けてくれる。
 そんなレーダークルーズにも弱点がないわけではない。
 走っている車に追い付いたときは、よく反応するのだが、停まっている車に追い付いたときは、反応がよくない。
 画面を見ると、前の車に反応するとき、車の絵が現れる。前の車がレーダーから外れると、車の絵が消える。走っている車に追い付くときは、あまり接近しないうちに車の絵が現れるが、停まっている車の場合は、相当近づかないと車の絵が現れない。そういうときは、危ないので、ブレーキをかける。
 では、停まっている車に接近するときは、レーダークルーズをあてにしないで、自分でブレーキを踏むしかないかというと、それは、工夫次第である。
 ミライのレーダークルーズに慣れてくると、かなり自然な感じで、停まっている車の後ろに停車することができるようになった。
 レーダークルーズを操作するには、いくつかのボタンを組み合わせる必要がある。そのボタンのうち、速度設定を変更するものは、二つある。一つは速度を上げるボタンで、一つは速度を下げるボタンだ。
 一回押すと、一キロ上がる。もう一つのボタンは、一回押すと、一キロ下がる。
 これでは、とてもじれったい。
 あるときマニュアルを見ると、長押しで五キロずつ変化することが判明した。このやりかたで五キロずつ下げていきながら、停まっている車に接近すると、かなり自然な感じで停車することができる。しかし、問題は、これならば、自分でブレーキを踏んでもいいのではないかという気持ちと、どううまく付き合うかということである。(2022/10/02)
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 すいす物語
◆ 執筆年 2022年2月5日~