すいす物語

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  二〇二三年四月

 水素ステーションが、少しずつ変わっていきそうだ。
 先月も同じことを書いたが、今月は、もう少し具体的な動きがあったことを書こうと思う。
 ほんとうに、ついこの間、すいすで水素を入れてもらっていたとき、充填完了後、スタッフからちらしをもらった。それによると、まもなくセルフ充填を開始するという。先月の予感が、こんなに早く的中するとは、驚きである。水素の普及も、予想よりずっと早まるのではないかと、そんな気もしてくる。
 先月は、GXやリパワーEUについてふれたが、それから一ヶ月で、水素関連のニュースを、たくさん目にした。ただ、これについては、よくわからないこともある。インターネットで、気になるニュースを閲覧すると、それと関連したニュースが、たくさん画面に出てくるのである。だから、水素関連のニュースが、世の中全体で増えているのか、それとも、世の中全体のニュースは増えていないのだが、自分のところにそういうニュースばかり送り届けられるのか、その区別がつかないのである。
 それは、ともかく、二〇二三年三月に私が見た、水素関連のニュースを列挙してみたい。
 三月一日、ロイター。アメリカのローレンス・バークレー国立研究所が、日本のクリーンエネルギーは、二〇三五年までに、現在の二割から九割に引き上げることが可能であると予測した。
 三月八日、NNA。オーストラリアから水素を輸送する、水素供給網を立ち上げることが決定。
 三月八日、ビジネス+IT。二〇三〇年ごろには、商用サプライチェーンが構築されて、水素の値段は、現在の三分の一の三〇円/ノルマル立方メートルになり、二〇五〇年ごろには、ガスより安い二〇円/ノルマル立方メートルになる。
 三月十七日、JBpress。BMWが燃料電池車を開発中。燃料電池車は、「4分以内で満充電できるEV」である。
 三月二十四日、ニューズウィーク日本版。水素社会の到来は、間近である。早ければ二〇二五年には、グリーン水素製造コストが、化石燃料と同程度になるだろう。
 話題としては、先月紹介したGXやリパワーEUと関連したものばかりではあるが、これだけ、各国や諸企業の動きが出てくると、もはや絵に描いた餅ではない、という気がしてくる。諸企業といっても、前掲の記事には、BMWしかないが、実は、ここに挙げたのは、ほんのごく一部で、ほかにもさまざまな企業が動き始めている。
 これらの記事の中で、JBpressの「4分以内で満充電できるEV」というフレーズが、印象的であった。三月中の、後半だったと思うが、テスラで長時間旅をするという記事を読み、EVは大変そうだなと感じた。この記事を書いた人は、テスラで長旅をすると、いったいどうなるのか、試してみたようで、話題の大半は、充電にまつわることであった。一回三〇分までしか充電できないとか、満充電できる高速充電器があまりないとか、困っていた。SAで充電していると、あとから来た人が見に来て、「まだあと十七分か」と言われたとか、水素では考えられないような気苦労があるようだ。(2023/3/29)
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 すいす物語
◆ 執筆年 2022年2月5日~