すいす物語

18
二〇二三年六月
ミライに乗って、大きな病院に行った。
前々日の夜に、急におなかが痛くなった。
その朝、仕事に行き、早めに上がらせてもらい、近所の病院で診てもらうと、石が管に詰まったのかもしれないと言う。また、次の日に別の検査をすることになった。
それで、翌日、検査をし、やはり、どうも、そのようだから、別の病院で詰まったものを取ってもらった方がいいだろうということになった。
その場合は、そのまま入院になるかもしれないから、二、三日分の着替えを持って行った方がいいだろうと言われた。
それで、大きな病院に来て、ミライを大きな駐車場にとめたのである。
おなかは痛いが、自分では、まだ、なにかしなくても、どうにかなるのではと、楽観的な気分の方が勝っていた。
ところが、大きな病院の看護師は、私の顔を見るとすぐに、このあと手術になりますと言って、準備を始めた。管に詰まった胆石は、すぐに取り除かないと、大変危険なのだ。
手術といっても、胃カメラをするのと、あまり変わらない。内視鏡を十二指腸のところまで入れて、そこから、内視鏡に設置した機械で、胆石を除去するのである。また、管を胆汁がよく流れるように、金属の管を入れる。
ただ、鎮静剤を入れてから内視鏡を飲むので、点滴をしたり、心拍数を計測したり、血圧を測定したり、かなり手術っぽい雰囲気である。手術台の周りには、医師や看護師がたくさんいて、忙しそうに準備をしている。酸素の管を鼻に入れて、鎮静剤を流す。
いまのところは、別になんともない。
医師に、「目を開けていてください」と言われ、よし、目をずっと開けていようと思う。
なにか、気持ちのいい夢を二、三分ぐらい見て、うとうとしているなと思った。すると、「起きてください」と言われたので、起きると、もう内視鏡手術は終わっていた。二時間ぐらいたっていた。
そして、入院である。二、三日ではなかった。五日間の入院である。
現代の病院は、ビジネスホテルのようである。
家族にノートパソコンを持ってきてもらうと、普段の生活が病院内でできてしまう。前回のすいす物語は、入院中の産物である。今回は、そうではないが。
点滴が外れると、病院内なら自由に移動でき、コインランドリーやコンビニも利用することができる。
退院して、駐車場に行くと、前夜の大雨で汚れたミライが待っていた。ミライは、五日前と同じように、快走を始めた。まずは、すいすに行き、水素を自分で入れた。
便利で、合理的な時代になったものだと、入院生活中に思った。
最後の日も、こういう感じなのだろうか。ミライに乗って病院に行き、どうも、もうだめな気がしますと言うと、治療の末、臨終を迎える。持ち主が来なかったら、ミライは、あらかじめしておいた契約によって、買い取られるのだろう。(2023/5/21)
ミライに乗って、大きな病院に行った。
前々日の夜に、急におなかが痛くなった。
その朝、仕事に行き、早めに上がらせてもらい、近所の病院で診てもらうと、石が管に詰まったのかもしれないと言う。また、次の日に別の検査をすることになった。
それで、翌日、検査をし、やはり、どうも、そのようだから、別の病院で詰まったものを取ってもらった方がいいだろうということになった。
その場合は、そのまま入院になるかもしれないから、二、三日分の着替えを持って行った方がいいだろうと言われた。
それで、大きな病院に来て、ミライを大きな駐車場にとめたのである。
おなかは痛いが、自分では、まだ、なにかしなくても、どうにかなるのではと、楽観的な気分の方が勝っていた。
ところが、大きな病院の看護師は、私の顔を見るとすぐに、このあと手術になりますと言って、準備を始めた。管に詰まった胆石は、すぐに取り除かないと、大変危険なのだ。
手術といっても、胃カメラをするのと、あまり変わらない。内視鏡を十二指腸のところまで入れて、そこから、内視鏡に設置した機械で、胆石を除去するのである。また、管を胆汁がよく流れるように、金属の管を入れる。
ただ、鎮静剤を入れてから内視鏡を飲むので、点滴をしたり、心拍数を計測したり、血圧を測定したり、かなり手術っぽい雰囲気である。手術台の周りには、医師や看護師がたくさんいて、忙しそうに準備をしている。酸素の管を鼻に入れて、鎮静剤を流す。
いまのところは、別になんともない。
医師に、「目を開けていてください」と言われ、よし、目をずっと開けていようと思う。
なにか、気持ちのいい夢を二、三分ぐらい見て、うとうとしているなと思った。すると、「起きてください」と言われたので、起きると、もう内視鏡手術は終わっていた。二時間ぐらいたっていた。
そして、入院である。二、三日ではなかった。五日間の入院である。
現代の病院は、ビジネスホテルのようである。
家族にノートパソコンを持ってきてもらうと、普段の生活が病院内でできてしまう。前回のすいす物語は、入院中の産物である。今回は、そうではないが。
点滴が外れると、病院内なら自由に移動でき、コインランドリーやコンビニも利用することができる。
退院して、駐車場に行くと、前夜の大雨で汚れたミライが待っていた。ミライは、五日前と同じように、快走を始めた。まずは、すいすに行き、水素を自分で入れた。
便利で、合理的な時代になったものだと、入院生活中に思った。
最後の日も、こういう感じなのだろうか。ミライに乗って病院に行き、どうも、もうだめな気がしますと言うと、治療の末、臨終を迎える。持ち主が来なかったら、ミライは、あらかじめしておいた契約によって、買い取られるのだろう。(2023/5/21)