すいす物語

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  二〇二三年九月

 ミライを置いて大きな病院に来た。
 これまで、燃料電池車を軸に、現代と未来に関する世の中の動きを、一人の商品やサービスの利用者という点で、ここに書き記してきた。
 今回からしばらく、その延長線上の記録として、病院生活について、続けてみようと思う。
 病室は、ビジネスホテルみたいである。衣服入れや小物入れなども機能的であり、整理して入れると、部屋にはなにもないように見える。ベッドの脇にスーツケースが一つ立ててあるだけだ。
 テレビ台の収納の扉に画面があり、入院中に必要な情報が表示されている。ワイファイ情報もある。
 スマホをつないで、音楽をダウンロードする。ブルートゥースでヘッドホンとつなぎ、音楽を聴く。ノートパソコンもワイファイでつなぐ。これで、家にいるのと同じような状況で、いろいろな作業ができる。
 看護師が何度か部屋に来て、健康状態を測定したり、手術の説明をしたり、手術の準備をしたりする。
 シャワーのある部屋を希望したが、空きがなかったので、シャワーなしの部屋である。近くにシャワー室がある。シャワーを浴びるように指示されたので、シャワーを浴びに行く。
 院内のコンビニに経口補水液とおむつを買いに行く。
 看護師さんが来て、へその掃除をする。ここを切って、内視鏡を入れるので、そのための準備である。ふくらはぎの周囲を測定する。血栓ができないように、手術前にタイツを履くための準備である。
 初日にやることは、このぐらいで、あとは自由時間である。
 夕食を食べる。夕食は、普通の食事である。
 夜九時以降は、経口補水液以外はなにも摂取できない。経口補水液は、最低五〇〇ml、最大一五〇〇ml飲むことになっている。
 夜十時ごろに寝た。
 翌朝、五時に起きた。
 あと三時間ぐらいで手術台に乗ることが、あまり実感できなかった。
 六時半までは、経口補水液を飲んでいいことになっていた。少しずつ飲むように言われていたので、結局全部は飲めなかった。それでも一三〇〇ml飲んだ。
 ひげをそって、歯を磨いた。タイツをはいた。非常に圧迫感がある。
 看護師さんが来て、点滴のカテーテルを刺した。左腕には針が入らなかった。右腕には入った。ここから麻酔が入れられるのだ。
 パソコンでなにかやっているうちに、八時半が過ぎた。
 看護師さんが来て、手術室に移動しましょうと言われる。
 看護師さんにおむつを渡す。これは、尿道にカテーテルを入れるときに必要なのだ。
 ベッドで運ばれるのかと思ったら、自分で歩いていくのであった。(2023/8/8)
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 すいす物語
◆ 執筆年 2022年2月5日~