すいす物語
22
二〇二三年十月
ミライは家にあるので、二日間見ていない。
今回は、前回の病院生活の続きである。
手術室には、医師や看護師がたくさん集まっていて、優しく迎えてくれた。
手術台に横たわると、とても暖かい。
スタッフが忙しく準備を始める。
心電図と血圧の測定が始まった。
スタッフが声をかける。
「これから点滴の管から麻酔を流していきますよ。そのあと人工呼吸するために、気管に管を入れます。鼻に酸素マスクをつけます。尿道に管を入れます。麻酔が入っていますよ。少しぼうっとしてきますよ」
たしかに、室内の風景や医師たちの顔がぼやけて見えるなと思った。
なにか気持ちのよい夢を見ていたような気がするが、なにも覚えていない。とにかく非常に短い時間であった。
だれかに起こされたような気がする。目が覚めてみると、体がなんだかわずらわしい。いろいろな管が邪魔に感じる。姿勢が苦しいので、横を向きたいが、それもできないなと思う。
「体を横に向けてもいいですよ」
そう言われ、足を少し曲げた。しかし、体を横に向けるのは無理そうだった。尿道の管が手に余った。動くと、響くのだ。
「口に入れた管をはずしますよ」
口から管が出ていく感じがあったが、痛くはない。
「酸素マスクもはずしますね」
口の管と鼻の酸素マスクが取れたので、かなり気分がよくなった。
「しばらく休んでいてくださいね」
姿勢を自由に変えられないので、やはり寝ているのが苦しかった。このまま明日の朝までこういうふうに寝ているのかと思うと、先が長い気がした。
そのうちに病室のベッドが運ばれてきて、手術台から移してもらった。
病室に戻った。
右手に点滴、左手に心電図のクリップ、尿道にカテーテル。そういう状態なので、とても寝苦しい。
しかし、ここまで手術のときにあけた四つの穴は、ほとんど痛まなかった。麻酔とか痛み止めの薬が効いているのだ。
手術室に入ったのが、九時近く、部屋に戻ったのは、よくわからないが、十一時過ぎではないだろうか。
この寝苦しさがずっと続くといやだなあと思っていたら、いつの間にか妻が帰ったあとに、眠りについてしまった。寝たり起きたりしているうちに、夜の七時ぐらいになった。その間に、水も飲んだ。手術から戻って、やたらと喉が渇くので、水がうれしかった。(2023/8/8)
ミライは家にあるので、二日間見ていない。
今回は、前回の病院生活の続きである。
手術室には、医師や看護師がたくさん集まっていて、優しく迎えてくれた。
手術台に横たわると、とても暖かい。
スタッフが忙しく準備を始める。
心電図と血圧の測定が始まった。
スタッフが声をかける。
「これから点滴の管から麻酔を流していきますよ。そのあと人工呼吸するために、気管に管を入れます。鼻に酸素マスクをつけます。尿道に管を入れます。麻酔が入っていますよ。少しぼうっとしてきますよ」
たしかに、室内の風景や医師たちの顔がぼやけて見えるなと思った。
なにか気持ちのよい夢を見ていたような気がするが、なにも覚えていない。とにかく非常に短い時間であった。
だれかに起こされたような気がする。目が覚めてみると、体がなんだかわずらわしい。いろいろな管が邪魔に感じる。姿勢が苦しいので、横を向きたいが、それもできないなと思う。
「体を横に向けてもいいですよ」
そう言われ、足を少し曲げた。しかし、体を横に向けるのは無理そうだった。尿道の管が手に余った。動くと、響くのだ。
「口に入れた管をはずしますよ」
口から管が出ていく感じがあったが、痛くはない。
「酸素マスクもはずしますね」
口の管と鼻の酸素マスクが取れたので、かなり気分がよくなった。
「しばらく休んでいてくださいね」
姿勢を自由に変えられないので、やはり寝ているのが苦しかった。このまま明日の朝までこういうふうに寝ているのかと思うと、先が長い気がした。
そのうちに病室のベッドが運ばれてきて、手術台から移してもらった。
病室に戻った。
右手に点滴、左手に心電図のクリップ、尿道にカテーテル。そういう状態なので、とても寝苦しい。
しかし、ここまで手術のときにあけた四つの穴は、ほとんど痛まなかった。麻酔とか痛み止めの薬が効いているのだ。
手術室に入ったのが、九時近く、部屋に戻ったのは、よくわからないが、十一時過ぎではないだろうか。
この寝苦しさがずっと続くといやだなあと思っていたら、いつの間にか妻が帰ったあとに、眠りについてしまった。寝たり起きたりしているうちに、夜の七時ぐらいになった。その間に、水も飲んだ。手術から戻って、やたらと喉が渇くので、水がうれしかった。(2023/8/8)