すいす物語
32
二〇二四年八月
水素の未来に不安を感じながら、関連企業のサイトなどを見ると、やはり二〇三〇年から、商用化に向けて本格的に動き出すようなことが書いてあるので、ひとまずそれを信じてようすを見てみようと思う。
ストーリー性がある歌の話を書いていたら、どれも鉄道関係のものになってしまった。今回はその路線を継承して、『なごり雪』について、少し書いてみたい。
『なごり雪』。一九七四年、かぐや姫の伊勢正三が作詞したが、諸事情があり、シングルカットされないまま、解散してしまった。その後、イルカがカバー・シングルを発表することになり、ヒットする。
イルカの『なごり雪』もいいが、かぐや姫の『なごり雪』もいい。
かぐや姫の歌詞は、これはどういう状況なのだろうと、考えてもなかなかわからないものがある。
なごり雪も降る時を知り ふざけすぎた季節のあとで
今春が来て 君はきれいになった 去年よりずっときれいになった
この「ふざけすぎた季節」については、もうずっと考えているが、結局よくわかっていない。表面的には、春になったのに雪が降ってきたことをいっているのだろうが、付き合っていた数年の時についてもいっているのだと思う。それが「ふざけすぎた」とは、どういうことだろうか。
「ぼく」は、四年前大学に入学した「君」と付き合うようになった。そんな仮定をしてみる。同じサークルで活動したり、コンパをしたりするうちに、「君」は、先輩の「ぼく」と話をすることが多くなった。「君」が「ぼく」に好感を持ってくれていると思い、「ぼく」は、付き合ってほしいといった。しかし、「君」は、地方からきた、旧家の三人娘の長女である。東京の大学を卒業したら、当然実家を継がなければならない。そういう事情があるので、在学中にだれかと付き合うことはできないといった。「ぼく」はそのとき、「君」の言葉は、心の中とは違うような気がした。そして、それは、間違っていなかった。このときから、「君」は、「ぼく」の部屋に遊びにくるようになった。狭く暗い部屋だったが、「君」がくると、明るく快適なホテルの部屋になったような気がした。「君」が「ぼく」の部屋で暮らすようになるのに、それほど時間はかからなかった。「君」は、いつもこぼしていた。私は家を継がなければならないのに、婿入りするつもりもない人とこんなふざけた生活をしていて、いったいこれからどうなるのかしら? 卒業が近づくと、「君」はいった。やっぱり帰ってこいっていわれた。ごめんなさい。東京にこのままいることはできないの。「ぼく」はなんとかしたかったが、まだ卒業もできず、就職もできなかったので、どうすることもできなかった。
『なごり雪』は、伊勢正三が『二二歳の別れ』と同時期に作ったものなので、関係が深いと思われる。すると、知り合ったのが一七歳ということになり、この説は破綻する。(2024/5/3)
水素の未来に不安を感じながら、関連企業のサイトなどを見ると、やはり二〇三〇年から、商用化に向けて本格的に動き出すようなことが書いてあるので、ひとまずそれを信じてようすを見てみようと思う。
ストーリー性がある歌の話を書いていたら、どれも鉄道関係のものになってしまった。今回はその路線を継承して、『なごり雪』について、少し書いてみたい。
『なごり雪』。一九七四年、かぐや姫の伊勢正三が作詞したが、諸事情があり、シングルカットされないまま、解散してしまった。その後、イルカがカバー・シングルを発表することになり、ヒットする。
イルカの『なごり雪』もいいが、かぐや姫の『なごり雪』もいい。
かぐや姫の歌詞は、これはどういう状況なのだろうと、考えてもなかなかわからないものがある。
なごり雪も降る時を知り ふざけすぎた季節のあとで
今春が来て 君はきれいになった 去年よりずっときれいになった
この「ふざけすぎた季節」については、もうずっと考えているが、結局よくわかっていない。表面的には、春になったのに雪が降ってきたことをいっているのだろうが、付き合っていた数年の時についてもいっているのだと思う。それが「ふざけすぎた」とは、どういうことだろうか。
「ぼく」は、四年前大学に入学した「君」と付き合うようになった。そんな仮定をしてみる。同じサークルで活動したり、コンパをしたりするうちに、「君」は、先輩の「ぼく」と話をすることが多くなった。「君」が「ぼく」に好感を持ってくれていると思い、「ぼく」は、付き合ってほしいといった。しかし、「君」は、地方からきた、旧家の三人娘の長女である。東京の大学を卒業したら、当然実家を継がなければならない。そういう事情があるので、在学中にだれかと付き合うことはできないといった。「ぼく」はそのとき、「君」の言葉は、心の中とは違うような気がした。そして、それは、間違っていなかった。このときから、「君」は、「ぼく」の部屋に遊びにくるようになった。狭く暗い部屋だったが、「君」がくると、明るく快適なホテルの部屋になったような気がした。「君」が「ぼく」の部屋で暮らすようになるのに、それほど時間はかからなかった。「君」は、いつもこぼしていた。私は家を継がなければならないのに、婿入りするつもりもない人とこんなふざけた生活をしていて、いったいこれからどうなるのかしら? 卒業が近づくと、「君」はいった。やっぱり帰ってこいっていわれた。ごめんなさい。東京にこのままいることはできないの。「ぼく」はなんとかしたかったが、まだ卒業もできず、就職もできなかったので、どうすることもできなかった。
『なごり雪』は、伊勢正三が『二二歳の別れ』と同時期に作ったものなので、関係が深いと思われる。すると、知り合ったのが一七歳ということになり、この説は破綻する。(2024/5/3)