すいす物語

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 二〇二四年十一月

 水素のことを調べていたら、エナシフというメディアを見つけた。脱炭素を啓発しているようだ。水素の大量生産、大量輸送に関する記事があり、HySTRA、AHEAD、日本水素エネルギーなどのプロジェクトについてまとめてあった。次回から、これらを一つずつ紹介してみたい。これ以外のプロジェクトにも触れるかもしれない。
 今回も車関係の歌を取りあげてみようと思い、何にしようか考え、『プレイバック part2』にしてみようと思ったのだが、それならば、『勝手にしやがれ』も取りあげてみたいと思ったのである。なぜなら、この二つには関係がありそうだからである。制作順を考えると、『勝手にしやがれ』が先になるだろう。
 『勝手にしやがれ』。一九七七年、阿久悠作詞、大野克夫作曲、沢田研二が歌った。
 沢田研二が歌うので、この曲にでてくる男は余計に派手な遊び人という感じがして、女はそういう男にほとほと愛想がつきたのだろうと思うのであるが、よくきいているとそんなに悪い男ではないという気もしてくるのである。

 行ったきりならしあわせになるがいい
 戻る気になりゃいつでもおいでよ

 ここのところでジュリーが帽子を投げるのである。当時これがはやった。スキー合宿の夜の余興で先生が帽子を投げて、盛り上がったことを思いだす。よく考えてみると、なぜここで帽子を投げる必要があったのだろう。しかし、理由はともかく、それが見事にはまっていた。
 『プレイバック part2』。一九七八年、阿木燿子作詞、宇崎竜童作曲、山口百恵が歌った。

 勝手にしやがれ 出ていくんだろ
 ちょっと待って Play Back、Play Back
 今の歌を Play Back、Play Back

 この歌は、男とけんかをして飛びだした女が、真っ赤なポルシェに乗って一人旅をするという設定である。それで、いまの部分は、カーラジオからきこえてきた歌を女が巻き戻してと(心の中で)いっているところなのだが、それは、どう考えても、沢田研二の『勝手にしやがれ』しかありえないのである。ただし、『勝手にしやがれ』には、「勝手にしやがれ 出ていくんだろ」という歌詞は存在しない。これにいちばん近いのは、「やっぱりお前は出て行くんだな」になるだろうか。
 当時は(もっと昔も今もそうだったかもしれないが)、作詞家には遊び心があったものである。実はこの辺の時代の歌は、作詞家同士のこういう遊び心の盛り込まれたものがたくさんありそうなので、次からはこういう関係ある歌を紹介してみようと思う。(2024/8/13)
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 すいす物語
◆ 執筆年 2022年2月5日~