すいす物語

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  二〇二五年四月

 川崎重工業の取り組みを調べていたら、川崎重工がシンビオと「燃料電池の共同開発に関する覚書」を締結しているということを知った。シンビオとはいったいなんだろうと思い、調べてみた。すると、フォービア、ミシュラン、ステランティスが出資する合弁会社で、ヨーロッパ最大の燃料電池生産工場を開設したそうである。ヨーロッパでも燃料電池車がまもなく普及しそうな気がする。
 今回の関係ある歌は、ピンクレディーと曽根史朗と井上陽水とビートルズである。
 子どものときに、なにかのテレビ番組を見ていたら、歌のコーナーになった。子どものときはこの歌のコーナーというのが好きではなかった。歌詞の意味するところがよくわからないので、退屈だったのである。
 しかし、そのときは、見たことのない水着のような軽快すぎる衣装で激しく踊りながら歌う二人組に圧倒され、退屈どころではなかった。しかも、歌詞の内容が子どもでもわかる部分が多く、面白かった。それが、ピンクレディーの『ペッパー警部』だったのである。
 ピンクレディー『ペッパー警部』。一九七六年、阿久悠作詞、都倉俊一作曲。
 歌詞の内容は、公園でささやき合う恋人を警官が注意するというものである。

 その時なの もしもし君たち帰りなさいと
 二人をひきさく声がしたのよ

 実は、警官が恋人たちをたしなめるという趣向は、『ペッパー警部』が初めてではない。

 もしもし
 ベンチでささやく お二人さん
 早くお帰り 夜が更ける

 これは、曽根史朗の『若いお巡りさん』。一九五六年四月、井田誠一作詞、利根一郎作曲である。阿久悠が『ペッパー警部』を作るとき、どうやらこのことは頭にあったらしい。しかし、この二つはまったくイメージが違う。『若いお巡りさん』が警官目線で、『ペッパー警部』が女性目線なせいもあるだろうが、曲調も違えば、雰囲気も違う。

 恋人のうちの男性目線で歌うのが、井上陽水の『断絶』(一九七二年三月、井上陽水作詞作曲)である。ただこれには警官はでてこない。代わりに女性の父が男性をたしなめている。

 夜中にデイトした 近くの公園で
 たしかめあっていた おまえと俺の愛
 突然あらわれた おまえのオヤジが
 「私の娘は嫁いり前です
 近所でおかしな 噂が立ちます」といった

 ペッパー警部はどこから来たのかずっと悩んでいた。ペッパーがつくものは、ドクターペッパーぐらいしか思いつかなかったのだ。
 あるとき、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ』を聴いていて、ふと思った。サージェント・ペパーはペパー軍曹だが、警察ではペパー巡査部長のことなので、もしかしたら関係があるかもしれないと。(2025/2/9)
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【--- 作品情報 ---】
◆ 題名 すいす物語
◆ 執筆年 2022年2月5日~